コンビニ店長の笑顔を見られる日は来るのだろうか
うちの近所には、なぜかファミリーマートがひしめいています。
徒歩3分圏内に、4軒も。
セブンイレブンも2軒あるのですが、ローソンは1軒もなし。
これ、「ドミナント戦略」といいます。
チェーン店が地域を絞って集中的に出店する経営戦略。
その地域での知名度を上げたり、信頼を高めたりするのが目的のようですが、コンビニの場合は流通効率を上げるのが主な狙いでしょうね。
チェーンの本部としては合理的な戦略かもしれませんが、店のオーナーからしたらたまったものではないでしょう。
何しろ、すぐ近くにライバルが、それも同じ品ぞろえで店名も同じ店がいっぱいあるのだから。
自由市場において競争は避けられないと分かってはいても、実際に競争させられる方は大変です。
コンビニのオーナーって「現代の奴隷」と呼ばれているらしいですね。
フランチャイズ本部によって借金を抱えさせられ、逃げ場がない。
違約金が待ち受けているので、脱退も難しい。
バイト料を削るために家族は総動員。
さまざまなイベントを本部から押し付けられ、手間ひまも大変です。
で、ぼくは一番近くにあるファミリーマートにはなるべく行かないことにしています。
家のすぐそばで便利なのに、なぜ?
それは、店長が死んだ魚のような目をしているからです。
中年のやせた男性なのですが、顔色が悪く、肌はボロボロ。
生気がまったく感じられず、マンガで出てくる犯罪者のような容貌なんですよ。
今にも大声で叫び出して暴れだしそうな雰囲気。
会計のときも、目の焦点が合わない感じで、無表情のまま「789円です!」とムリに声を張り上げています。
そんな風に感じるのは悪いことだよなと心がチクチク痛むけれど、ちょっと買い物するだけで、こちらが暗〜い気持ちになってしまうんです。
そんな店長だからか、バイトもほとんどいません。
募集しても、きっと面接のときに「これはヤバいな」と感づいて辞退するのでしょう。
なにせ、周りにいくらでもほかのコンビニが募集してますからね。
ただでさえ、人手不足でどこも困っているご時世。
バイトの人たちも、あえてこのコンビニで働かなくてもいいんですよ。
バイトが集まらないから、店長が長時間、働き続けるしかない。
すると、ますます死んだようになってしまう。
そんな店長のいる店で働こうとするバイトはいない。
完全に悪循環ですね。
せめて24時間営業がなくなったら、この店長も少しは楽になるのかなと思います。
でも、この店だけが時短にしても、周りの店が24時間営業を続けてしまったら、お客さんは流れてしまって経営はますます苦しくなります。
きっと、がんじがらめで抜け出せない状況なのでしょう。
ぼくは南米で暮らしたことがあるのですが、そこでは、どんなに貧しくてもいつもニコニコしながら働いている人が多かった。
おしゃべりしたり、ジョークを飛ばしたり。
レストランに入っても、地元のサッカーチームが試合をしていたら、テレビに夢中でだれも注文を取りにこない。
かわいい女の子が来たら、店員たちはすかさずナンパを始めてしまいます。
おつりと一緒に、携帯番号を書いた紙を渡したり。
そんなにイイカゲンだから貧乏なんだよ、と思うのですが、あればあれで楽しんで生きているからいいんですね。
日本も、もう少しイイカゲンが受け入れられる国になったらいいのにな、と思います。
あのコンビニの前を通るたびに、いつも外からレジの方をそっと見ています。
あの店長に笑顔が見られたら、入ってみようと思っているんです。
きょう、店長に笑顔はあるだろうか。