「いま世界の哲学者が考えていること」を読んで哲学の終わりを知った
ひとって「迷える羊」だったり、「考える葦」だったりします。
人間じゃないのか。
ともかく、悩んだり、思い耽ったり。
人生の方向がわからなくなると、宗教や哲学に走っちゃうひとが出てくるものです。
本屋さんに行っても、宗教書や哲学書は根強く生き残っていますね。
いまで言うと、マルクス・ガブリエルが流行っていたりします。
一方で、橘玲氏なんかは「神は死に、哲学という分野も終わった」という趣旨の考えを示しています。
ぼくは宗教を信じていないので、神様なんてハナから存在しないと思っているのですが、哲学にはちょっぴり興味があったりします。
なんか、カッコイイ感じがするじゃないですか。
学生のころは一応、ニーチェを読んでみたりしましたよ。
「神は死んだ」なんてね。
だいたい訳わからないんですけど。
いつまでたっても人間って進歩しないものだから、恋愛だったり仕事だったり、人生だったりについてクヨクヨ考えることはあるものです。
哲学を知れば、少しは道しるべになるのではないか。
そう考えるひとは少なからずいるでしょう。
この科学全盛期に、哲学ってまだ機能してるのでしょうか。
「いま世界の哲学者が考えていること」(岡本裕一朗著、ダイヤモンド社)という本を見つけて買ってみました。
評価は星3つ。
目次を眺めるだけで、いまの哲学の置かれている状況がわかります。
第1章「世界の哲学者は今、何を考えているのか」
第2章「IT革命は人類に何をもたらすのか」
第4章「資本主義は21世紀でも通用するのか」
第5章「人類が宗教を捨てることはありえないのか」
第6章「人類は地球を守らなくてはいけないのか」
つまり、「人間って何?」という問いに関しては、すでに脳科学なり生理学なり遺伝子学なりによってすでに答えが出ているんですよね。
過去の哲学は、心とか感情とか、モノの見え方について、ああでもない、こうでもないと論議してきました。
でも、それらは脳における電流やらホルモンやらシナプスやらの働きによってすべてコントロールされることが証明されてしまったのです。
脳のどの部分を刺激すれば、どんな感情がわき起こるのかまでわかっている。
そこに「哲学」の入り込む余地はなくなりました。
仕方ないから社会との関わりについて考えるのですが、それもいまやゲーム理論なり行動経済学なり、歴史学なり、遺伝子の働きなり、ほかの学問が幅をきかせている分野です。
この本を読んでも、いまの最先端の事象を無理やり哲学に結びつけて考えようとしているだけに思えます。
それなら、それぞれの分野の専門書を読んだほうがよっぽどいい。
テクノロジーが急激に発達して、格差が広がり、先行きが見えにくくなった時代。
混迷のなかで、ひとが何かにすがろうとするのは自然なことです。
でも、そこの「哲学」の出番はないように思いました。
ぼくは?
自分のアタマで考えて、あとは直感にまかせて気ままに生きていこうと決めています。