フリーランスだった40代の友人が、会社員になった話
フリーランスとして働いてきた40代半ばの友人が、今年から会社員になったと聞きました。
親戚の小さな会社に勤めることになったとのこと。
収入は全体的にみればフリーランス時代よりも下がるそうですが、友人は会社勤めを選んだのです。
フリーランスの生活は、はたから見ればとても楽しそうでした。
仕事で海外に行くことも多く、いろんな国のことを嬉しそうに話していました。
「ちょっと台湾で遊んでくる」とか「仕事の帰りにパリに寄ってくる」とか言って、自由を満喫していましたね。
日にちも自由に選べるので、「安いチケットがあったから行ってくる」というスタンス。
サラリーマンだとこうはいきませんよね。
どうしても夏休みとか冬休みとか混み合うときにしか旅行ができません。
フリーランスの友人は普通のサラリーマンでは難しい、リーズナブルな旅を楽しんでいました。
それなのに、なぜ「社畜」と蔑まれることも多い会社員になったのか。
やっぱり不安だったんですね。
友人のフリーランスの仕事は安定していません。
仕事がくるときは次々とオファーが舞い込む一方で、まったく仕事がない時期もある。
年間を通じてみれば、十分暮らしていけるだけの収入はあるのだけど、月ごとの変動はとても激しい。
最初のうちはそんな状況に慣れておらず、仕事がない時期はひたすら落ち込んでいたそうです。
やがて、「心配しても仕方がない」と開き直るようになって、「仕事がなければ遊ぶ」と割り切ることを覚えたみたい。
だから、海外で楽しそうに遊んでいたのは、実は仕事がない時期だったんです。
旅行をしている間に仕事のオファーが入ることもあっても、対応できません。
もちろん割り切って楽しんでいたとは思いますが、遊んでいる間も心の奥底では「このままずっと仕事がなかったらどうしよう」と不安がくすぶっていたのかもしれません。
それに、仕事をしている間はいろんな人と接触があるのですが、ない時期はただ家に引きこもるしかありません。
たいていはネットで映画やドラマを見て過ごすらしいのですが、友人は独身のひとり暮らしなので「3~4日間くらい誰ともひとことも話さないことなんて、ざらにある」と言います。
これは精神的にツライですね。
若いうちはそれでもエネルギーにあふれているし、体も丈夫なので問題ないのですが、40代になってくるとだんだんと不安が募ってきます。
仕事の先行きは不透明で、体のあちこちにガタがくる。
40代後半、50代になってもこのまま仕事のオファーがあるのか。
体調が良くないときに仕事を断ったら、そのままオファーがなくなってしまうのではないか。
今後のことをじっくり考えて、友人は「自由」よりも「安定」を求めたのでしょう。
分かりますね、その気持ち。
いまはノマドの仕事も増えているし、YouTuberとして収入を得ている人もいます。
ネット界では「プロ無職」とか「プロ奢ラレヤー」あるいは「何もしない人」などとして活動して生きているひとも出ています。
「女忍者」の格好で世界を回っている女性もいます。
もちろん、自由で楽しそうでいいなあと思うし、心の中で応援しているところもあります。
ただ、こういうのって40代、50代になると続けるのは厳しいだろうなあとも思いますね。
だって、50歳の女忍者ってイタイじゃないですか。
そこまで貫き通せれば、逆に尊敬しますけどね。
世間って、自由気ままに遊びまわっている10代、20代の若者に対しては大らかな目で接するひとたちが多いものです。
それが30代に入ってくると「そろそろ落ち着いたらどうかね」なんて口出ししてくる年配のひとが増えてきます。
「余計なお世話だよ」と思うでしょうし、それが当たり前だと思います。
若いころって年を取るとどうなるかなんて想像もつきませんからね。
年を取って初めて体の衰えや様々な不安を肌身で感じるようになる。
それがわかってきた年配の人たちが、若者の生き方に対して余計な口出しするというわけです。
年寄りは若者のやり方が気に食わないし、若者は年寄りの余計なお節介をウザいと思う。
そうやって人類の歴史は積み重なってきたのでしょうね。
ぼくもアラフィフになったので、そろそろ若い人たちに説教を・・・しないように気をつけよう!