ちょっと油断すると仕事を押し付けられるひと
先日、会社での定例会議でのこと。
いつものようにまったりと進み、そろそろ終わるかと思ったころ、同僚の一人が「ちょっといいですか?」と言って、ある企画を提案しました。
「こういうの、必要だと思うんですよね!」と熱弁をふるいます。
うんうん、確かに。
悪くない。
会議が終了してみんながバラバラと引き揚げるときに、提案した同僚に歩み寄って声をかけました。
「あの企画、いいですよね。やるべきだと思いますよ」
すると、その同僚はうれしそうに笑みを浮かべならが答えました。
「やっぱりそうですか!あれ、あなたに担当してもらおうと思ってるんですよ。適任ですよね!」
ナニ〜!!
なんでもかんでも押し付けやがって。
油断も隙もない。
完全に気を許していた。
こんなことなら、会議で猛反対すべきだった。
油断大敵とは、まさにこのことです。
ところで、「油断」という言葉は堺屋太一の小説「油断!」で知られていますね。
その言葉通り、油が断たれる石油危機の勃発を想定したシュミレーション小説。
1973年に書きあがっていたのが、現実にオイルショックが起きたため、いったんは出版を見送り。
オイルショックが落ち着いた1975年に出版されたそうです。
それにしても「油断!」という小説のタイトルは抜群のセンスですよね。
コトバンクによると、もともと「油断」は北本涅槃教の中にある話が由来のようです。
語源は古いんですね。
中国ではそのまま「油が切れる」ことを意味するらしい。
スポーツの応援で中国人が声を張り上げて叫ぶ「加油!(ジャーヨウ)」は「頑張れ!」という意味ですが、「油を加える」ことでエネルギーを充填するのは、なるほど理にかなっています。
などと、感心してる場合じゃない。
ぼくは、よく仕事を押し付けられるんですよ。
いつもヘラヘラしていて、用がなければさっさと会社を出て引き揚げるからかもしれません。
それはヒマだからじゃないんです。
会社がキライだからなんです。
けっこう仕事は抱えているんだけど、集中して必死にこなしているんですよ。
涼しい顔をしているように見えて、水面下では懸命に足を漕いでいるアヒルみたいなもんです。
でも、そんなこと、誰もわかってくれない。
現場にいたころも、山のように仕事を押し付けられて休みが全然ありませんでした。
同じ日の同じ時刻に別々の上司から別々の仕事が振られそうになったこともありました。
さすがにそのときは上司の一人が会議で言ったそうです。
「あいつは、1人しかいません」
管理職になっても、状況はそんなに変わっていません。
ただ、1年後には早期退職しようと思っているので、こんな悩みもあと少しで終わるでしょう。
それまでは何とか生きながらえないと。
「加油!」と自分を鼓舞しながら。
油の補給が必要ですね。
油じゃなくて、アルコールだな。