雨の日の女性に、してあげられなかったこと
ぐずぐずした天気が続きますね。
空が晴れないと、気分も晴れません。
しかも、毎日降るならともかく、降ったりやんだり。
梅雨だから仕方ないけど、天気予報が当たらない日が多いのも、ちょっとイライラします。
先日、家の近くを散歩していたら、急に雨が降ってきました。
天気予報は外れ。
ぼくはこんなこともあろうかと、ビニール傘を持っていたので助かりました。
急な雨に準備をしていなかった人も多いのでしょう。
周りの人たちは急いで走ったり、雨宿りをしたりしてしのいでいます。
アーケードのある商店街に入ってちょっとひと息ついた時でした。
ぼくの名前を呼ぶ声がしたので、振り返ると知り合いの女性がニコニコしながら立っていました。
電動自転車のわきには小さな女の子が2人いて、ぼくを見上げています。
彼女とは10年ほど前に仕事で知り合いました。
ちょっと天然気味のところはあるけれど、明るくて、マジメで、頑張り屋さんの女性です。
仲良くしていたのですが、ぼくが転勤したり、結婚を機に彼女が仕事から離れたりしたので、しばらく連絡が途絶えていました。
ぼくが転勤先から戻ってきて、家がご近所だったので偶然、再会したわけです。
彼女は2人の子どものママさんになっていました。
お姉ちゃんの方は保育園児くらいでしょうか。
自転車には子どもたちを乗せるシートがついています。
「雨が降るとは思わなかったから、やむのを待ってるんです」と彼女。
ぼくは、2人の子どもを連れて大変だなぁと思いながら「この傘、使う?」と差し出しました。
「すぐやむから大丈夫ですよ〜。家も近いし」と彼女は断ります。
天気予報では雨は降らないことになってたし、確かにやむかもな。
そう思って、しばらく雑談をしたあと、そのままお別れしました。
でも、その後も雨はやまなかったのです。
あとから振り返ると、もし彼女に傘をあげたとしても、自転車を押しながら傘をさして子ども2人を連れて帰るのは難しいですよね。
そんなことに気づかなかったのは、バカだなと反省しました。
2人の小さな子どもを抱えての外出がどんなに大変なのか、実感がなかったから気づかないのでしょう。
ちゃんと一緒に家まで帰ってあげればよかった。
気になったので、翌日連絡してみました。
彼女からは「びしょ濡れで帰りました!笑。でも、すぐに着替えたから全然問題ないです!」と明るい返信がきました。
ブラジルで出産した日本人の妊婦さんの話を思い出しました。
同じように雨が急に降り出したときのことです。
大きなお腹を抱えて雨宿りしていると、見知らぬブラジルの男性たちが話しかけてきて、みんな次々と雨の中を飛び出していく。
そしてびしょ濡れになりながらタクシーをつかまえて「これに乗って家に帰れ」と言ってくれたのだそうです。
困った人を見たら助けるのが当たり前。
それが子どもや妊婦さんのように弱い立場の人だったらなおさらのこと。
そんな考えが身についているのですね。
ぼくは、とっさの時にそうした行動が取れる自信がありません。
きっと、自然体で身についた優しさがないのでしょう。
だから、「困っている人がいたら助けてあげよう」と常に心に留めておかないといけないのです。
いつの日か、自分で意識しないまま、さりげない優しさを発揮できるときが来るのでしょうか。
そうなったらカッコいいよね。