マクドナルドは大人の空間になった
近くにマクドナルドの新しい店舗ができた。
ときどき無性にジャンクフードが食べたくなり、店に足を運ぶ。
場所柄か、友人と一緒に来ている客は少ない。
学生の姿も見当たらず、ほとんどがおとな一人の客だ。
電源があるので、安心してスマホをいじったりパソコンを使ったりすることができる。
ペンで一生懸命なにかを書き込みながら勉強している人もいる。
となりに座っている中年の女性は、ポテトをかじりながらノートパソコンでずっと映画を観ている。
かつて、マクドナルドの壁の色は赤と黄色の原色を使っていて、安っぽいイメージがあった。
わざと落ち着かない雰囲気を作り出し、客の回転数を上げる狙いがあったとも言われている。
それが、変わった。
いまは壁は木目調や白を基調にしており、間接照明まで設置してある。
小さな音量でBGMが流れる。
マクドナルドはいま、大人がゆったりとくつろげる場所になっているのだ。
最近は家に直帰したくない「フラリーマン」が話題になっているが、彼らにとっても居心地のいい場所だろう。
ぼくは、ファストフード店やファミレスで黙々と勉強している人を見るのが好きだ。
向かいに座っている若者は、将来成功したときに「あのころは会社帰りに毎日マックで2時間、勉強してたんだよな」なんて振り返るのかもしれない。
いま売れっ子の作家や小説家も、無名の時期はマックで一生懸命に原稿を書いていたのかもしれない。
そんなことを想像するのが、好きだ。