神田の「ミルクホール」に行ってみた
みなさん、「マンホール」という言葉をなくそうという動きがあるのを知ってますか?
マンホールの「マン」は男に限定される言葉で性差別的だとして、米カリフォルニア州のバークリー市議会が用語を見直す条例案を可決したそうです。
そのため、マンホールは「メンテナンスホール」、マンパワーは「ワーフフォース」、セールスマンは「セールスパーソン」などに言い換えられることになります。
日本でも、以前使われていたスチュワーデスが「キャビンアテンダント(客室乗務員)」に変わったし、看護婦さんも「看護師」を使うのが当たり前になりましたね。
堀ちえみの「スチュワーデス物語」も、今なら「キャビンアテンダント物語」です。
長いな。
ところで。
ホールはホールでも、「マンホール」ではなく「ミルクホール」というわけで、神田の「ミルクホール」に行ってきました。
どういうつながりやねん。
「ミルクホール」とは、明治や大正期に多くあった飲食店。
文字通り、当初はミルクを提供することを目的としていたようです。
神田の「栄屋ミルクホール」は、戦後すぐの1945年創業です。
東京駅の隣にある神田駅から徒歩5分ほど。
すぐにも崩れ落ちそうな古びた建物の入り口に、「ミルクホール」と書かれたのれんがはためきます。
東京の都心に残る、レトロな雰囲気のお店。
ここだけが、まだ終戦直後のようです。
引き戸を開けて中に入りました。
カウンター席がないので、テーブル席に座ります。
壁を見上げると、「カレーライスとラーメンのセット、950円」と書いた短冊が目に飛び込んできました。
迷わず注文。
すると、1分ほどでカレーライスがすっと運ばれてきます。
速い!
ひなびた外観にだまされてはいけません。
サービスは現代のスピード社会にしっかりと適応しています。
ボリュームは、セットで食べるにはちょうどいいハーフサイズ。
これぞ懐かしい定食屋のカレーといった味で、辛さの中に甘みが感じられます。
うん、おいしい。
午前10時半の開店直後に入ったので、客はぼくともう一人だけでした。
「11時までは静かでいいよね」と店員さんたちがおしゃべりしている声が聞こえます。
メディアにもよく取り上げられている店。
お昼どきは混むのでしょう。
カレーを半分も食べ終わらないうちに、ラーメンが運ばれてきました。
これまた速い。
素朴なしょうゆラーメンです。
この店に合わせるなら名前を「中華そば」にした方がいい感じ。
実際、中華スープに麺を入れたような、昔ながらのラーメンです。
メンマとほうれん草、チャーシューに刻みネギが入っています。
メンマは支那筍と呼ぶようで、短冊にはそう書いてありました。
それならラーメンも中華そばでいいのに。
スープはあっさりとしています。
チャーシューは存在感ばっちり。
ぼくは喜多方ラーメン坂内のチャーシューが好きなのですが、ああいうホロリととろけるようなものではなく、しっかりとかみごたえのあるチャーシューです。
ああ、ラーメンのチャーシューって、もともとこんな感じだったなあと思い出させる味でした。
夏は冷やし中華(950円)もやっているようです。
次はそれにしようかな。
気になるのは「カレーラーメン」。
確かにカレーもラーメンも美味しかったけど。
一緒にするのか・・・。
ともかく、満足の昼食でした。
「マンホール」はなくなってしまうかもしれないけど、「ミルクホール」には頑張って令和時代も生き残ってほしいですね。