吉野家の「麻辣牛鍋膳」はパンチが効いてて、ふらついた
タピオカに隠れて派手さには欠けるのですが、昨年あたりから「しびれ味」がブームになっています。
四川の「麻辣味」ですね。
麻辣モスバーガーに、ケンタッキーの四川風麻辣味。
麻辣担々麺も人気みたいです。
そして、ついにその波は吉野家にも!
「麻辣牛鍋膳」なるものが発売になりました。
タピオカはキャピキャピのギャルにお任せして、大人のオトコは静かに麻辣を味わおう。
ということで、食べに行ってみました。
ぼくはもともと松屋派です。
牛丼店を利用するときも、松屋→なか卯→吉野家の順で選びます。
前回吉野家に足を運んだのは、「特選すき焼き重」が期間限定で発売されたとき。
新商品が出ないと利用しないんですね。
これって、吉野家の戦略に踊らされているのか、はたまた戦略に乗っていないのか。
ともかく、久しぶりに店の暖簾をくぐり、もとい、自動ドアから入ってカウンター席につきました。
迷いなく注文します。
「麻辣ですね」と店員さん。
なんと、「マーラー」の発音が本場そのものです。
吉野家は店の雰囲気まで中華風を持ち込んでいるのでしょうか。
異国情緒がただよう吉野家の店内。
いや、店員さんが中国人というだけでした。
それでも、期待は高まります。
トレイに乗せて店員さんがやってきました。
「牛丼の並ですね」
ガクッ。
すごかったのは「マーラー」の発音だけで、注文の内容は覚えていなかったのか。
「すみません、間違えました。マーラーでしたね」と厨房へ帰っていきました。
その後は、後から入ってきた客の食事がどんどん運ばれてきます。
きっと、ぼくの麻辣は厨房に通っておらず、あわてて作っているのでしょう。
いいですよ。
待ちますよ。
気分は中国4千年の歴史ですからね。
ゆったりと鍋が煮えるのを待つのが、本場の食べ方というものです。
四川に行ったことはないけど。
ようやく運ばれてきた「麻辣牛鍋膳」はグツグツと煮えて、いい具合でした。
なんせ、陳建一監修ですからね。
1990年代に人気だった「料理の鉄人」の1人です。
まさか20年以上あとに吉野家の監修をすることになろうとは、本人も想像しなかったでしょう。
煮えたぎった鍋の中には、牛肉のほか、豆腐、ネギ、にんじん、白菜、玉ねぎと具だくさん。
きしめんも入っているようです。
ここ数日は急に寒くなってきたので、あったかい鍋は食欲をそそります。
一番上にはトウガラシが1本、ポツンと乗っています。
これはショートケーキで言えばイチゴの役割を果たしていると見たらいいでしょう。
さっそく、ハフハフしながら一口。
うん、辛い。
でも、キムチとは違う辛さです。
花椒(ホアジャオ)の独特の風味とシビれるような辛さが相まって、ただの牛鍋とはまったく違う味を作り出しています。
野菜が多いのでヘルシー。
冷え込んだ夜にはバッチリです。
最初は大丈夫だと思った辛さが、徐々に効いてきました。
額に汗がにじみ、鼻水がズルズル出てきます。
周りをみると、みんな普通の牛丼を食べていて、必死になっているのはぼく1人。
孤独な闘いが続きます。
辛さを和らげるのが、ごはんとお新香。
いつもは、お新香は塩味を楽しむものなのに、辛い麻辣鍋と一緒だとサッパリした爽やかな味に感じられます。
ふだんはちょっと尖って独自路線を歩む個性派なのに、この麻辣牛鍋膳メンバーの中では癒し系に入るのです。
お新香を食べながら、ふと気づきました。
しまった。
白菜とお新香、かぶってしまったな。
「孤独のグルメ」の井の頭五郎さんも、きっと同じように思うでしょう。
なんとか食べ終えて、お腹いっぱいに。
辛かったのだけど、味に慣れると大丈夫です。
というより、ちょっとクセになります。
最後はレンゲでスープを飲んでしまうほど。
おいしかった。
正直言うと、食べ始めたときは物足りないかなと思っていたのですが、予想以上にボリュームがありました。
値段は「748円プラス税」。
少し高いかな。
でも、こんなものかなとレシートを見たら、822円。
そうだ、増税していたのだった。
う〜ん、822円か。
最後にちょっとしたパンチを浴びて、ふらつきながら店を出たのでした。